とは言えなかった。 淡島さんに唇で口をふさがれたから。 「…諦めなくて良い。」 吐息が、甘い。 この言葉で私の中に温かいものが広がる。 多分、今の自分の頬は赤い。 しかし、 「……淡島さんは、私の兄なんじゃないですか?」 「…………希、どうしてそう思うんだ?」 淡島さんの声色が一気に変化した。 「ごめんなさい。 私、淡島さんの部屋でお兄ちゃんの手帳の鍵を見つけてしまいました。」 私は正直に告白した。