「今日…起きた時何もありませんでした?」
手、触れてなかっただろうか?
「もうすっかり元気だ。
ありがとう。仕事、行ってくる。」
淡島さんの優しい顔を壊したくなくて私は触れたことを言わなかった。
嫌われたくなかったから。
「いってらっしゃい、淡島さん。」
「あぁ。」
そう言っていつもよりは心なしか軽い足取りで淡島さんは出かけて行った。
"ありがとう。"
――この言葉を言うのは私の方なのに…
たったあれだけの看病で言われても困ってしまう。
私には勿体なすぎる言葉だ。
一体どこまであの人は人が良いんだろうか?


