――考える時間を作りたくなかったから。 「ふーん… じゃあ、希は本を読んで感動するとかないの?」 「うん、ないよ。」 「…じゃあ、今日の国語の授業で嬉しそうに教科書を読んでた希って俺の見間違い?」 「!」 「教科書の物語読んでこんな顔もするんだなーって思って見てたんだけど?」 「そ、それは……」 樫木の言う通りだった。 あの夏の日以来、私は活字を読むことを違う意味で面白いと思うようになっていた。