「…共感出来ないです。」 無難に答えたつもりだった。 「そうか? 心理描写が上手くてなかなか良かったと思うが……」 それがいけないのだ。 「私、そろそろ帰りますね。 ……あ、もしかしてこの本の持ち主の方ですか?」 そうでなければ私が持っている本が何かなんて分かるわけがない。ましてや感想なんて無理だ。