キウイの朝オレンジの夜


 正月休みの間に上がっている他の営業の成果も勿論あるが、出勤初日に上がる成果はやはり注目を浴びる。

 支部長席からは瞳を細めて稲葉さんが笑顔をくれていた。あたしはちょっと誇らしい気持ちになり、上司に近づく。

「褒めて下さい、支部長。新しく、広告会社で出入りの許可も貰ってきました」

 ‘中央の稲葉’と言えばと噂された究極の甘え顔でにっこりと笑って、稲葉さんは頷く。

「よくやった。素晴らしいスタート、だな」

 正直に言うと、あたしはその笑顔に少し見惚れた。

 だけど満面の笑顔で近づいてくる副支部長の存在に救われる。はあ、よかった、アホ面でぼーっと見惚れたりせずに済んで。

 あたしは自席で職員さんがつくってくれた雑煮を食べる。

 やっぱりこれでなきゃ。あたしは、働くことが好きだ。営業をしていてその80%が辛いことかもしれないけど、それでも契約をいただけた時やお客様に喜ばれた時、うまく職域を増やせたとき、それを上司に褒められたときの達成感は、その辛さの全てを埋めて余りある。

 この瞬間の為に、外で頑張ってると思うのだ。

 雑煮はあたたかくて美味しかった。

 あたしはふんわりと優しい気持ちになる。


 今年もお仕事、がんばろうっと。