翌日の朝、あたしはまた睡眠不足だったけど、すっきりと目覚めて目覚ましのアラームを切った。

 いつものように12分前に。

 隣で眠る光を見詰める。

 彼の寝顔を見るのも、これが最後なんだろうな。そう思って、じっと見た。

 伸びかけのひげや、枕に広がる黒髪や、わりと通った鼻筋なんかを。

 ・・・この顔も、好きだったな。

「あーさーでーすーよ~」

 気が済むまで見詰めてから、あたしはおもむろに彼を起こしに掛かる。ぺちぺちと柔らかく頬を叩いた。

「・・うう~・・・ダメ、すんげー眠い・・・・もうちょっと・・・」

「ふざけんなっつーの。サラリーマンでしょ、今日はまだ金曜日よ。ほら起きた起きた!」

 今度はバンバンと肩を叩いてから、あたしはベッドを抜け出す。

 先にシャワーを浴びて洗面所で化粧をしていたら、欠伸をしながら光がやってきた。

「・・・はよ」

 まだ半眼で、がしがしと頭を掻いていた。鏡越しにあたしを見て、にやりと笑う。

「・・・営業職って感じだな~。ホント顔変わるよな、お前」