キウイの朝オレンジの夜



 暖房の効いた部屋で羽毛布団に包まって、あたしは寝てしまっていた。

 ベッドが軋んで揺れる感覚に目を覚ます。

 ゆっくりと振り返ると、稲葉さんが頭にタオルをかけてベッドの淵に座ったとこらしかった。

 シャワーを浴びてたらしい。そりゃ汗だくだっただろう、あんなに動いたら、とそこまで考えて、羞恥心で死にそうになった。

 あたしに背を向けて座っている彼の後姿を、しみじみと眺める。

 ・・・・綺麗な体。腕も、腰までの肉つきも、広い肩幅も。いいなあ~、神様って基本的にえこひいきだよね、こういうの見てると。

 頭も良くて顔も体も綺麗って、無敵じゃん。うーん、何か、ムカつく。でも、あたしこの人に抱かれたんだよねえ・・信じられない。

 視線を感じたのか呪いが判ったか、稲葉さんが振り返った。そしてあたしと目が会うと、にっこりと笑う。

「起きたのか」

 その素敵な笑顔に見惚れる。まだ濡れた髪がタオルからのぞく。垂れ目の優しい瞳。口角をきゅっとあげた、可愛い笑顔。それが年相応の色気と混じって何とも言えない好印象となる。

「どうした?大丈夫か?」

 手を伸ばして頭を撫でてくれる。あたしはうっとりと目を閉じて、正直に答える。

「・・・格好いいなあ、と思って・・・」