キウイの朝オレンジの夜



 彼の顔が苦しげに歪む。それがあたしに喜びを与える。もっと気持ちよくなって欲しい、そう強烈に思った。

「・・・いいの。何度でも――――――抱いて下さい・・・」

 彼が微笑む。そして頷く。動きが激しくなった。汗ばむ胸元にあたしは手を伸ばす。


 あたしの体で、稲葉さん。気持ちよくなって――――――――


 そんなこと、今まで男に抱かれている時に思ったことなんてなかった。

 焦るような、震えるような、心底から感じる渇望なんて感じたことなかった。

 好きなんだ、この人が。あたしはこんなにも好きなんだ。

 心の堤防はすでに形もない。あたしはただ感情に任せて彼に甘える。望むなら、何でもあげる。全部全部、あたしをあげる。


 だからもっと、もっと強く抱きしめて―――――――