うわーんと泣くあたしの隣で副支部長は頭を抱えていた。
「・・・2月戦なのよ。今、まさしく真っ最中なのに・・・あああ、もう・・」
上司と部下の板ばさみになって苦しんでいるのが申し訳なかったけど、話出してしまったから止まらない。
あたしは鼻をかんで、懸命に呼吸する。
こんな大声で泣いたのは久しぶりだ。ちょっとすっきりした。
「・・・はあー・・・」
副支部長が席を立ち、コーヒーを淹れてくれた。あたしはそれを捧げ持って貰い、感謝を示す。
「宮田さん、支部の移籍ってダメですか?」
「は!?」
凄い勢いで副支部長が振り返る。
「何言ってんの!?認められるわけないでしょうが!!玉ちゃんがこっちに来れたのは、ご家庭の事情での特別配慮なのよ。お陰で私たちはラッキー。でも職域営業部の部長は文句たらたら!誰だって事務所のメンバー減らしたくないんだから~!」
やめてよ~!私を見捨てないで~!と副支部長が叫ぶ。
あたしは机に突っ伏した。・・・やっぱりダメか。元の職域担当営業部に出戻れば、稲葉さんとは会わずにすむ、と思ったんだけどな。
その理由が上司に惚れたので、とはやっぱり言えないしな。



