「まず、王道として告白してみたら?繭ちゃんに引き続き」
あたしは両手でバッテンを作る。
「無理。ヤツは社内恋愛は仕事の障害だと思ってる」
「当たって砕けてみて、もしもに掛けてみたらいいじゃない。支部長が玉ちゃんのことを気に入ってるのは確実なんだから」
あたしはまたうわーんと泣いた。
「玉砕が判っててぶつかる勇気なんてないもーん!!」
副支部長は耳を押さえて仰け反りながら言った。
「いや、でもお気に入りなんだしもしもってことが・・・」
「ないです!お気に入りなのは、どんな試練を出してもお前は食いついてくるからだって言ってたもん!!」
今日言われたことだ。間違いない。
副支部長は、そお?と口に人差し指を当てて首を捻った。
「それはそれでしょう?人間として気に入ってるなら、それが恋愛感情になることだってあるかもでしょうが」
あたしはぶんぶんと首を振る。
「無理無理~!告ってバッサリ切られてそのままここで仕事出来るほど強くないんだもん~!!」
あたしは繭ちゃんみたいに恋愛経験も豊富じゃない。それに、大して美人でも可愛くもないのだ。やつに振られてすぐに次の男が見つかる繭ちゃんとは違う。
感情的にはウェットな女であると思っている。絶対引きずる。玉砕は次への出発になるかもしれないが、それは仕事上で関係がない場合に限られると思う。



