「え……そんな理由?」
学はそのイスに座って言う。
「弥子さんや拓真からも聞いたが、殴られるなどの痕跡に残るような事をされた事は一度も無いらしい。体に残る事は、な」
確かに、今までに殴るとかの暴力は一度もされた事はない。
髪を切るとかも。
「それが、いきなり髪を切ってきたんだ。何か理由があるはずだろう」
「……それが俺だったんですか」
「駆流には悪いが、そう考えるのが一番自然なんだ。八神凪ではない方の、左利きの女子は彼氏がいるらしいし、拓真曰く、八神凪は全身で駆流の事を好きと言っているようだからな」
「……全身…………」
天野の表情を見ると、八神凪が全身で伝える好意には心当たりがあるようだ。

