「……私、獣医学部じゃないんだけど……」


「医学部も獣医学部も同じような物だろう」


「いや、全く違うし」


「たまにこういう事言うよな、鴉って」と呟いて京兄が猫の前に座る。


「瑠稀姉、手の傷、どうしたの?」


恨めしそうに鴉兄を睨んでいる瑠稀姉に訊く。


「んっとね、あの子ケガしてたから、拾おうとしたら、バラの茂みに逃げられて、トゲと爪にひっかかれたりかじられたりしながら捕獲して、ここまで連れてきた。いやー痛かった。けど、ルークによる手当の方が痛かった」


視線で人を殺せるなら、鴉兄はとっくに死んでる。