「鴉兄が事務所来てって」


<ん、解った。今から行くよ>


電話を切って、物置に等しい部屋の中からバケツを探し出しシャワールームに行く。


ぬるま湯を入れたバケツを運んで京兄を待つ間、体力が尽きているのか大人しくしている猫の頭を撫でる。


2人がキッチンから出て来てソファーに座り、鴉兄が瑠稀姉の手に薬を塗って包帯を巻いていく。


絆創膏を貼るより包帯を巻く方が楽だと判断したらしい。


瑠稀姉の手当が終わる頃に京兄がやって来た。


「鴉、何か用?」


「それのケガを診てくれ」


鴉兄が猫を指差す。