宮間探偵事務所事件ファイル 3




「……しかし、なぜ三枝さんがこちらに依頼を?」


三枝さんが紅茶をひと口飲み、カップをソーサーに置いたところでルークが訊く。


「叔父と伯母、それに私の母は、別に遺産が欲しいわけではないんです。従兄弟たちも巨額すぎて現実味がない、と探す気はありませんでした。しかし、伯父が遺言状を探し出して遺産を相続して、天国の祖母はそれで嬉しいのだろうか、と。


だから私たち、敷地内を探したんですが、見つからなくて……。どうしようと悩んでいる時に白兎先輩と再開して、相談したらここを紹介してくれたんです」


巨額すぎて現実味がないってどのくらいなんだろう……。


「……あの、失礼ですけど、おばあさまの遺産っておいくらくらいなんですか?」


ルークに睨まれたけど、好奇心が勝った。


「10億ほどですかね」


「じゅ……」


なるほど。現実味がない。