「……しかし、なぜ三枝さんがこちらに依頼を?」
三枝さんが紅茶をひと口飲み、カップをソーサーに置いたところでルークが訊く。
「叔父と伯母、それに私の母は、別に遺産が欲しいわけではないんです。従兄弟たちも巨額すぎて現実味がない、と探す気はありませんでした。しかし、伯父が遺言状を探し出して遺産を相続して、天国の祖母はそれで嬉しいのだろうか、と。
だから私たち、敷地内を探したんですが、見つからなくて……。どうしようと悩んでいる時に白兎先輩と再開して、相談したらここを紹介してくれたんです」
巨額すぎて現実味がないってどのくらいなんだろう……。
「……あの、失礼ですけど、おばあさまの遺産っておいくらくらいなんですか?」
ルークに睨まれたけど、好奇心が勝った。
「10億ほどですかね」
「じゅ……」
なるほど。現実味がない。

