宮間探偵事務所事件ファイル 3




「本当は寂しいクセに」


ふふ、とお母さんは笑うと、私を見る。


「……本当に道具だなんて思ってなかったんだ」


「そうよ。言葉が少なかった私たちも悪かったけど、子供の幸せを願わない親なんていないんだから。──初恋が実ってよかったわね」


お母さんはそう言って微笑み、朝食の準備を再開する。


「はつこ…………。知ってたの!?」


私がいきなり大声を出した事に驚いたのか、床に寝そべっていたシャルル(オス・ゴールデンレトリバー)が飛び起きた。


「大丈夫よー。お父さんは知らないからー」


とキッチンから楽しげなお母さんの声が聞こえた。