1階に下りると、お父さんが新聞を読んでいた。
「おはようございます」
「凪か。おはよう、今日は早いな」
「早く目が覚めたので」
「昨日、あんな事があったからか?」
それに頷く。
昨日、お父さんが帰ってくると、香坂さんは緊張したように私と付き合う事になったと報告をして、「将来、娘さんをください」とまで言った。
お父さんが反対する事もなく、報告は無事に済んだ。
これは余談だが、香坂さんが帰る時に「週末は俺の両親に挨拶に来てね」と言い、次は私が緊張する番となった。
「香坂君はいい人だ。凪が気に入ってくれてよかったよ」
お父さんはそう言いながら新聞を畳み、行ってくる、とお母さんと私に告げて仕事に行ってしまった。

