「緊張してる?」 口数が少なくなった香坂さんに訊く。 「そりゃあね。まだ先の事とは言え、娘さんをください、って言うんだから」 「でも、もともと婚約者だったんでしょ。お父さんが反対するハズないじゃない」 「それでも、緊張するものはするんです」 この気持ちは、凪には解んないんだろうな。 香坂さんはそう言って笑った。