香坂さんは数秒、私の言った事を咀嚼したあと、驚いたような表情を浮かべた。
「いいの?」
「そう言ってるじゃないですか」
視線を逸らして言ってから目を戻すと、香坂さんは嬉しそうに笑顔を浮かべていた。
「車、停めるからちょっと離れてて」
言われたとおりにすると、香坂さんが車を停めて、降りてくる。
「あら、いらっしゃい、涼君。今日は何の用で?」
家に入ると、お母さんが出迎えてくれた。
「先日、保留にした件で……」
「それがどうかなさいました?」
「凪さんにお付き合いする許可を頂いたので、その事を報告に」

