宮間探偵事務所事件ファイル 3




「気にしてない」


一瞬、沈黙が下り、九条さんが一言だけ言った。


「気にしてない」って……?私、あんなに酷い事したのに……?


「な、なんで?だって、私っ……」


緊張とか、「気にしてない」の一言とかで、何だか訳が分からなくなって、涙が浮かぶ。


俯いて唇を噛むが、ポロリと目から一滴零れた。


「え、あ、あの……えっと……あ、これっ」


狼狽えた様子の九条さんがハンカチを出す。


「なんでやさしくするのぉ……」


「さ、さすがに、目の前で泣かれたら……」


その答えに、今の涙は「許されたいから」の涙だと思われているのか、と情けなくなってさらに涙が溢れる。


差し出されたハンカチを受け取り、小さくお礼を言う。