宮間探偵事務所事件ファイル 3




「凪さんは、この婚約を、自分が家のために使われている、と思っているようで」


「な……」


香坂さんの言葉に、お父さんもお母さんも言葉を失う。


何なの?香坂さんが言った事は事実なんじゃないの?


「……ごめんなさい、凪ちゃん。私も、お父さんもそんな事は思っていないわ」


「じゃあ──」


「ただ、凪さんは私の事を覚えていないらしいので」


私の言葉を香坂さんが遮る。そして、放たれた言葉に、顔をしかめる。


「ですから、凪さんが私の事を思い出し、結婚を前提にお付き合いさせて頂くまで、この話は保留、という事にして頂きたいのです」


お父さんは少し考え、いいだろうと返事をした。


香坂さんはありがとうございますと頭を下げ、私と2人で話をさせて欲しいと言った。


それはこちらも同じだったので、リビングを出て香坂さんを自分の部屋に連れて行く。