宮間探偵事務所事件ファイル 3




「悪いようにはしないから」


香坂さんはそう言って微笑み、インターホンを押す。


中からドアが開き、お母さんが出てきた。


「おかえりなさい。涼(リョウ)君も、いらっしゃい」


と、香坂さんに微笑みかける。


『涼君』って香坂さんの事……ですよね。


なぜ名前を知っているんでしょうか。


リビングに行くと、珍しい事にお父さんがいた。


お手伝いさんが人数分のお茶を出すと、香坂さんが口を開いた。


「突然押しかけてしまって申し訳ありません」


「いや、構わないよ」


「今日訪ねたのは、婚約の件で。凪さんが何やら勘違いをしているようでして」


私の名前を知っている事にまず驚き、勘違いとは何だと首を傾げる。