宮間探偵事務所事件ファイル 3




もう家に帰らなきゃ、とのろのろと立ち上がると、男性が口を開いた。


「……入口で待ってろ。すぐに行く」


「は?」


なぜかを訊く間もなく男性は本を抱え直して歩いていく。


首を傾げながら、おじさんに挨拶をして、入口で待つこと10分。


目の前に白いセダンが停まり、窓が開いた。


「えっと……?」


「乗って」


訝しげな顔をしている事に気付いたらしい男性が付け加える。


「誘拐する気なんてないから安心しろ」


でしょうね。そんな事してこの人にメリットなんてないでしょう。


そう思いながら車に近づき、前に座るか後ろに座るか悩んだ挙句、男性に言われて助手席に収まる。