溜息が自然とこぼれる。
こんな気持ちで家に帰るのは嫌だったので、親戚のおじさんが経営している私立図書館に行くことにした。
カウンターにいるおじさんの前を、小さい声で挨拶をして通り過ぎる。
寡黙なおじさんは、いつもと違う様子の私を見ても、いつも通り「いらっしゃい」と言うだけで、何も訊いてこなかった。
お気に入りの本を一冊を手に取って、お気に入りの席に座る。
けど、本を開いても文字の列を目が追うだけで、内容は頭に入ってこない。
溜息を吐き、本を閉じて、机に伏せる。
ついでに目も閉じる。
「そろそろ閉館です」
少しの間そうしていたら、いきなり声をかけられた。
顔を上げると、黒いエプロンと館員証みたいなのを着け、本の山を抱えた20代前半くらいの男性。

