抵抗しようとするが、無理やりハサミを入れる。
と同時に、
「っ九条さん、と……?」
聞き覚えのある声がした。
天野君のものだ。
その声と、九条潤佳の素顔に、思わず息を呑む。
そして、女の人の声も聞こえた。
ちらっとそっちを見ると、どこかの制服を着た、高校生くらいの女子。
とっさに、入ってきたのとは反対の方にある入口に向かって逃げる。
後ろで何か言っていたが、よく聞こえなかった。
入口まで来たところで、自販機の前に車を停め、飲み物を買っている人と遭遇した。
瞬時にその人からも逃げた。
今の見られた?見られたらマズイ。
自販機の光で、顔がバレたかもしれない。
でも、顔は特別かわいいワケでも、キレイというワケでもない。どこにでもいる普通の顔だ。
制服だって、第二中と同じようなセーラー服だし、すぐに逃げたから、大丈夫。バレているはずがない。大丈夫。
自分にそう言い聞かせて、家に帰った。

