濡らしたタオルで猫の汚れを取っている京兄の隣にしゃがむ。
「ん。きれいになった。抱く?」
頷くと、艶やかな黒色をした猫を私の膝の上に置いてくれる。
「ただいまー」
猫を抱いてソファーに座ったところで、調査に出ていたらしい莉央(リオ)兄と学(ガク)が帰ってくる。
「あれ、京介?何してんの?」
「鴉に呼ばれた」
「ルークが?って、ルークまた猫拾ってきたの?」
莉央兄が私の足の上で丸まってる猫を見る。
「俺じゃない」
「あー、ごめんなさい。あたしで……『また』?」
お盆を運んできた瑠稀姉が、莉央兄の言葉に眉を寄せる。

