息が上がるのを抑えようと、 私は大きく息を吸い込んだ。 「いま、いませんっ」 ようやく絞り出せた声が、上澄んでいたことなど気になるはずもない。 むしろ、なんとか答えられたことにほっとしていた。 「じゃあ、俺……じゃない、 僕と付き合ってください」 急かすような彼の声に、 私は迷わず答えた。 「はいっ」 こうして、桂一と私は付き合い始めた。 後で考えると桂一に彼女がいなかったことが不思議で仕方なかったけど、自分が彼女になれたことが嬉しかった。