ところが今朝降ろしてもらった会社近くの道路沿いに、桂一の車は停まっていなかった。
確かめる間もなく、優美とは別れてしまったから私はひとり。
幸いメイン道路から一筋入った道沿いだから通行人は少ないけど、職場の駐車場の近くだ。駐車場へ向かう人が来たら目に付いてしまう。
と思っていたら早速、誰かが角を曲がってやって来る。
あれは……
私が気づくのと同時に、相手も私に気づいたようだ。
「美香ちゃん、お疲れ様」
「橙子さん、お疲れ様です。こんな所でどうしたんですか?」
美香はぺこっと頭を下げて、不思議そうな顔で私を見てる。何だか恥ずかしくなる。
「迎えに来てもらうの、待ってるんだ」
「そうなんですね、よかったぁ……気になってたんですよ。家の方が来てくれるんですか? 私、一緒に待ってていいですか?」
ひとりで待つ私を、美香が気遣ってくれる。嬉しくて申し訳なくて……私は唇を噛んだ。私は美香を助けてあげられないのに。
「美香ちゃん、ごめんね」
耐えきれなくて、ぽつりと零れた。
「え? どうしたんですか?」
美香はきょとんとしている。心配をかけまいと、わざと知らないフリをしているのか。
「ううん、何かあったら遠慮しないで話してね。力になれるか分からないけど、私に出来ることなら力になりたいと思ってるから」
と言うと、美香は柔らかな笑みを浮かべて頷いた。
「ありがとうございます。私は大丈夫です。でも、何かあったら真っ先に話しますから聞いてくださいね」
少し恥ずかしそうな笑顔に、ほっとさせられる。

