何気ない日々 -短編集-



先生の結婚がショックだったわけではなく、ちょっと前からそうだったらしい。

スランプだったらよかったけどそうではないらしい。
『良い玉を投げる』と野球部の子も顧問も言っていた。


でも投げられないらしい。

ストライクもたくさん取るらしい。
玉がすごく早いらしい。

でも野球ができなくなったらしい。


彼は野球部に居続けた。
出られなくて、雑用係でもずっとずっと。

野球ができなくてずっと練習の間走っていた。
練習が終われば投球練習。