「一度も?!嘘だろ?!」

「本当なんです。」

「そんなわけないだろ!
お前がインコちゃんを見てやらなかっただけじゃないのか?」


無意識に
声が大きくなる。


「違います。俺は毎日、毎日、見ていました。見てください。」


そう言って
アルバムを
めくって見せた。


次のページも。

その次のページも。

その次のページも…。


全部
ジョアンヌの写真だった。


けれど
どれもこちらを
向いていない。


それに、
インコちゃんが
立っている場所が
どれも一緒なのである。


「こ、これは…。」

「俺、毎日写真撮ってたんです。
いつかこっち向くだろうなって思って。」


どんどんページを
めくっていく。


「おれ、毎日毎日ジョアンヌを見てて、毎日毎日新しい写真を見てたから…!」

「…。」

「こんなにジョアンヌがぼろぼろになっていっていたなんて、
気づかなかったんです!!」


二人とも
止まったはずの涙が
また滲んできていた。