彼の子どもが
亡くなる前。


子どもが彼を
“お父さん”と
初めて呼んだのは


ハーモニカを
吹いている時だった。



凄く
幸せだった。



けれど、

事故で

子どもは

二回目の“お父さん”
を言う事もなく、

おじさんの元から
去っていった。




過去がよみがえる。



「インコちゃん!死なないでくれ!
また俺を一人にしないでくれ!!」



彼の涙は



誰の涙よりも



澄んでいた。