ハクア王国。


緑豊かなこの地では、王国というだけあって身分というものが重んじられている。


過去、貴族や王族の間で幾度となく凄惨な争いが繰り広げられてきた。


そのきらびやかな生活の裏の黒い歴史は、今なお語り人によって語りつがれている。


語り人は子供達にも、隠すことなくありのままを伝えた。


そうすると、子供達はみな眉を潜める。


そして決まったように言う。


「幸せなお話はないの?」


そして語り人達は待ってましたとばかりに話すのだ。


もう遠い遠い昔。


身分や血の柵を受け、政略結婚を余儀なくされた。


とある一組の夫婦の話を。