二人がいけしゃあしゃあと言うものだから、私は反論する気も失せてしまった。


仕方なく諦めて、


「分かりました。縁談をお受けします。お相手は何処のどなたです?」


と訊ねる。


すると二人は、パァっと目を輝かせて言った。


「弦黒の珀黎王だ。」


「なかなか美麗な方だと有名よ?」






私は今聞いたことが信じられなかった。


なぜなら・・・




「弦黒(げんこく)といえばついこのあいだまで、我が国の利益を狙って一方的に攻撃を仕掛けてきていた国ではないですか!?

しかも、珀黎(はくれい)王は当時、まだ王子の頃に指揮をとっていた張本人ですよ!!!???」


そう訴えたが父は、


「あれは先代、督藤(とくとう)王の仕業で、珀黎は指示に従っただけだし、もう督藤王は死んでいるではないか。」


と言い、母は、


「それに、和解をしようとこの縁談を持ち掛けてきたのは珀黎王なのよ?
いいとこあるじゃない!」


と言った。


この二人の悪いところは、すぐに人を信用してしまうところだ。


もちろん、誰も彼も疑ってかかれというのではないけれど、一国の主たる者、相手の言う

こと全てに、はいはい と頷くのではいけないと思う。






王と王妃の返事次第で、この国はよくも悪くもなるのだから・・・。