李玖side


「父上、李玖にございます。お呼びでしょうか?」


佳燕と共に父の部屋を訪れた私は、部屋の中に声をかけた。


「あぁ、入るといい。」


中に入ると、父上がお気に入りの長椅子でくつろいでいた。


しかも、母上と一緒に、茶菓子などをつまみながら。


父はいつもこうだ。


いつもどこかのんびりとしていて、自由気ままに行動する。


何故、こんなにダラダラとしているのに政は成功し、国はこんなにも豊かなのか・・・。


時々、不思議に思う。




そんな父上が、菓子をほおばりながら言った。


「李玖、おまえに嫁に行って貰いたい。」



私は一瞬、言葉を失った。


そんな私に、重ねて言う。


「李玖。嫁に行け。そろそろ利美瑚も嫁に出す。このままでは心配で嫁げぬと嘆いておったぞ?」


それが菓子を食べながらいう台詞か!?


私は頭を抱えた。


「お言葉ですが、嫁ぐ気はありません。」


すると母上が、


「あら?なんで?いいお話なのに。」


この人も父とよく似ている。


「母上もご存知でしょう?私は軍事部隊に志願したいのです。」


「まっ、いいじゃない。嫁ぎ先でも、鍛練が出来ない訳じゃないし。」


本当に分かっていない。