数時間後・・・・・・




鍛錬を終えた李玖は、湯浴みで汗を洗いながそうと、部屋へ戻ろうとした。


すると、


「李玖姫様!姫様~!」


初老の男が李玖を呼ぶ声がした。


「どうしたのです?佳燕、あなたが執務室から出てくるなど、珍しい事もあるものですね。」


佳燕(かえん)と呼ばれた父王の重臣が、駆け寄ってきて答えた。


「玖柳陛下がお呼びです。至急の用なので、急ぎ陛下の部屋を訪ねるようにと。」


「急ぎの用とは?」


「それが、わたしにも分からないのです。とにかく、今すぐ陛下のお部屋に。」


急ぎの用とは何だろう?


見当もつかぬまま、李玖は父の部屋へ急いだ。