李玖side

姉上は、幼馴染で隣国の王子の晋(しん)殿と婚約している。


1年後には、二人は正式に結婚する予定だ。


姉達は本当に仲がよく、晋殿になら姉を任せられると、私は考えている。




なのに姉上は、何故そんなに余計な心配をするのだろう?


私の心配ばかりせず、自分の幸せのことだけ考えて下さればいいのに・・・。


しかし、何度言っても、自分が安心するまでとことん納得しないのが姉上の悪い癖だった。


きっと、私が軍隊に志願することをやめて、どこぞのしっかりした男の元へ嫁にゆくとでも言えば、安心して笑って下さるのだろう。


しかし、それはどうあっても出来ないことだ。


軍に入ってこの国を守って行くために、今までたくさんの修行で努力を重ねてきたのだから・・・。


「どうすれば納得して下さるだろう?」





妙案が浮かばない私は、剣の鍛錬をして気を紛らわせようと、道場へ足を向けた。