李玖side
珀黎王に続いて出た庭は、言葉を失くすほどに美しく、可憐なものだった。
麗蓮の庭も珍しい花々に囲まれてはいたが、いかんせん煌びやかすぎて長居すると息が詰ってしまう。
なので好きではなかったが、此処の花達は違っていた。
何処にでもある花ばかりが植えられていたが、だからこそ、控えめで品があり、見る者の心をひきつける。
なにより、個々が独特の魅力をもって生き生きとしている。
世話をしている者の心遣いが垣間見える庭だった。
「素敵・・・」
ぼうっと呟いた私に、隣の男は得意げな顔をして言う。
「そうでしょう?これは私が最も頼みにしているものが世話している、自慢の庭です。」
その顔は本当に誇らしげで、この人がもっている美貌を際立たせた。
それが私にとってはたまらなく悔しくて
「邪魔はしない約束ではないですか。」
抵抗のつもりで口にしてみても、彼は涼しげ。