しばらくして婚儀は無事に終わり、私は珀黎王と別れて自室となる部屋に案内されることとなった。
案内役の侍女はそめで、私は、情けないがほっとした。
決して心細いわけではないと言い訳したいところだが、寂しさも無いわけではないのでやめておく。
余計に虚しくなりそうだから。
「李玖様、こちらがお部屋になります。どうぞ、ごゆるりとおくつろぎ下さいませ。」
最後に湯浴みの際はお申し付け下さいと言い残して、そめは退室していった。
部屋の奥に入ってゆくと、中は全面に畳がしきつめられていて、木製の違い棚が付け置かれた、とても落ち着く造りになっていた。
麗蓮がどちらかといえば、床に長椅子、テーブル、それに部屋の入り口は扉などの豪奢な造りになっているのに対して、弦黒はとても質素だった。
それに部屋の扉代わりとなっている襖には、青交じりの白で鈴蘭が一面に描かれている。
私にとってはむしろ自国より落ち着く部屋だ。
少し悔しかったが、それよりも今日の疲労のほうが勝っている。
外の侍女に声をかけ、湯浴みの支度を整えてもらうことにした。
