恐る恐る問うと、彼女 もとい彼は、嬉しそうに微笑んだ。
「正解です。私が貴女の夫となる、弦黒二十五代王、珀黎です。」
それを聞いたとたん、私は自分の背すじが凍る様に冷たくなってゆくのを感じた。
しかし、あくまで顔には出さずに頭を下げて詫びる。
「申し訳ございません。そうとは知らず、失礼を・・・。」
すると、衣ずれの音と共に、左肩に冷たいモノが触れていた。
「いえいえ。そうお気になさることはありません、よくあることです。
ですので、お顔を上げて下さい。」
触れていたモノが珀黎王の手だと気付くまでには、少し時間がかかった。
人の手にしては、それは冷たすぎたから。
うながされるまま上げた視線の先には、芸術のようにうつくしいほほえみ
「これから宜しくお願い致しますね、我が奥方殿。」
「こちらこそ、ふつつかものですが。」
やっとの思いで返事をすると、珀黎王は私の手をとり、そのまま祭壇へ歩いてゆく。
彼にならって私が祭壇に腰を下ろすと、従者が高らかに宣言した。
「これより、弦黒王珀黎様と、麗蓮、李玖(りく)姫様の婚礼の儀を執り行います!」
