李玖side
どのくらい眠っていたのだろう?目覚めたら、外はもう明るくなっていた。
昨日、衝撃のあまり湯浴みもせず、食事もとらず眠ったから、体中ベタベタで腹も減って、なんだか気持ちが悪かった。
せめて体だけでも洗おうと布団から起き上がると、部屋の扉が叩かれる音が聞こえた。
部屋にある邪魔な宝石たちをなんとか避けながら扉までたどり着き、扉を開けると、そこには五人もの侍女たちが並んでいた。
「どうしたのです!?そんなに沢山で。」
すると、一番年長であろう侍女が言った。
「あと二時間もすれば輿入れの刻ですので、お支度を整えに。」
その言葉で、昨日のことが夢ではなかったと知る。
「随分早いのですね?」
私が皮肉をこめてそう聞くと、侍女は誇らしげに言った。
「珀黎様が一刻でも早く、姫様を妻としたいと。」
戯言だ。
本当は、『早く麗蓮をモノにしたい』
とでも言いたいのだろう。
こんな手段をもってでも麗蓮が欲しいなどと言う奴らに、我が国を滅ぼさせるものか!!!
相手がその気なら、私も王妃の立場を利用して阻止してやろうではないか。
私は侍女を通し、身清めから輿入れの支度を始めた。