私は「なんでもない」と首を横に振った。

どうして、このタイミングなのだろう。
………会いたい。


その夜、私はシンジの家に行った。


「シンジ」


仏壇の前で手を合わせて、シンジの笑顔に話しかける。


「今日ね、転校生が来たんだよ。
 見た目は外国人みたいなんだけど、日本語しか話せない人」


私はフフッと笑う。


「…びっくりしたんだ。
 急に会いたくなったから来たの。
 だってね、その転校生がシンジと同じような言葉を言うから。
 ……不思議でしょ?」


私は、かばんからぬいぐるみを1つ取りだした。
それを仏壇の前に飾る。


「3人でおそろいだよ。
 シンジは白、成太は黒。 私は茶色」


自分では取れなかったから、ショウタくんに協力して取ってもらった。


「またくるね、シンジ」


私はシンジに背を向けた。