「手なんか抜くわけねーじゃん」そう言って、ショウタくんはニカッと微笑んだ。
………シンジ。
私はそのとき、パッと頭に浮かんだ。
シンジの懐かしい笑顔。
…いつか、シンジも同じようなことを言っていた。
シンジと成太と3人でゲームセンターに行ったとき、成太は優しいからわざと手加減してくれた。
でも、シンジはそんなのお構い無しで。
手加減なしで初心者の私と本気で対戦ゲームしてた。
そのとき私は言った。
「手加減してよね」って。
そしたらシンジは「手なんか抜くわけねーじゃん」って言ったんだ…。
「どうした?」
急に黙った私を不思議に思ったのか、ショウタくんは私の顔を覗きこむ。

