「今日暇? なんか、サッカー部の花見あるらしいんやけど、よかったら行かへん? うちも友達に誘われたんやけどさ」


特に予定がなかったため、二つ返事で了承した。

時間を聞いて、6時に一緒に行くことになった。

それから別れて、あたしは部屋に戻った。

買ってきた食材を冷蔵庫に入れ、コンポの電源を入れた。

流れてくる音楽に耳を傾け、部屋の時計を見る。

まだ4時になったばかりであった。

1冊くらいなら短い小説が読めると踏んで、本棚に置いてあるお気に入りの本の内の一つを手に取った。





花見は、大学から自転車で10分くらい走ったところにある公園で開催されていた。

近くのコンビニに集合して、先輩らしき人についてその講演に向かった。

春先のため、6時でも辺りは少し暗くなっている。

屋台の明かりや、桜を照らし出すライトがその薄暗さを掻き消している。

既に来ている1年もいるらしく、いわゆる飲み会が開かれていた。


美咲と一緒に座り、缶のお酒を先輩から手渡された。

噂に聞いたりはしていたが、やはり大学生となるとお酒を飲むことになると実感した。

両親が飲まなかったため、お酒を口にするのは初めてであった。

まぁ、未成年なんだから当然なんだけど。


「名前は?」

「どこ出身?」


この二つを中心に質問された。

定型文のように、同じ返事を返す。

適度に相槌を打ちながら、それとなく話に参加したりもした。


お酒を口に運びながら、それとなく周りを見てみる。

ここと同じように少人数で話をしているグループ、大人数でゲームのようなことをしているグループ、2年生以上なのか、コールというものをかけて飲んでいる男子勢。

高校まででは見られなかった光景が広がっている。

文化祭などの打ち上げはよくあったが、こんなに騒いではいなかったから。