今日の当番はあたしと奈々美。

給水に使うペットボトルの水やお茶の確認をしていた。

同時にミニゲームをしている時間を計っている。

ストップウォッチに目線を向けると、指定された時間になっていた。


「時間でーす」


部員に聞こえるように声を出す。

今まで走り続けていた足を止め、コップに入っているお茶を部員達が取りにきた。

「暑い……」と、全員がぼやいている。


「紗雪と奈々美さ、今日の夜って暇?」


空になったコップにお茶を注いでいると、声を掛けられた。

視線を上げると、目の前に橘祐輔がいた。


「今日はバイトなんだよね」


 隣にいる奈々美が返事をする。


「あたしは暇だよ」

「じゃあ、紗雪。今日の夜飲もうぜ」

「いいよ。その前に祐輔はちゃんと練習しな」

「確かに」と祐輔は笑った。

「あ、今日は全学のサッカー部のやつと飲むから。高校で一緒にサッカーしてたやつ。そいつも友達連れてくるらしいから、よろしく」


集合の声が掛かって、祐輔は走って行った。


「いいなー。私もバイトなかったら行くのに」


鎖骨程まで伸びた髪を後ろで一つに結い直しながら奈々美が呟いた。

あたしはキーパーの蓋を開け、その中に水と氷を足していた。

蓋を閉め、キーパーを振ってお茶を染み出させた。


「んー、あたし全学に一人も知り合いいないんだけど、大丈夫かな」

「大丈夫でしょ」

「だといいけど」と肩をすくめる。