それは夜のことでした。月の笑った夜でした。電気もつかない暗い部屋。ベッドに眠る主人のそばに、奥さまが立っていたのです。 奥さまは、なにやらなにかを両手で持って、なんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんども主人に振り下ろしたのです。 わたくしは、それを見ておりました。