「あ、貴方はそうやって可愛い可愛い言ってれば許されると思ってるんですか!」

「? 君は私に可愛いと言われるのが嫌なのか」



意外だと目を見開くや否や、その瞳には憂いがのせられる。

規格外の美しさを持つ彼だからこそ、そんな顔をさせてしまうことに対して猛烈な罪悪感に苛まれる。



「い、いい嫌じゃありませんけど!」



何というか、こう、恥ずかしいだけで!

素直には言えないので、ぶんぶんと両手と首を横に振ることで、私は必死に告げた。



「…そうか。ならよかった」



至極安心したように微笑む様は、元が良すぎるくらい良いからか、ひどく絵になった。

間違いなく、今、背景に大量のバラが咲いたと思う。