一体なんの話をしているんだろう。

自分は確か、何故自分のことを知っているのかと聞いたはずだ。

なのになんでいきなりおとぎ話だの歌姫が出てくるのだろう。

まさか今のはボケだったのだろうか？

反応に困って黙っている自分を見て男の子もとい水元が話しだす。

「あぁ、えっとね、この家っていうか、この空間は、現実では存在しなくなったんだ。それで、今は君の夢の中にいるってわけ。それで「ちょ！ちょっと待って待って！」

たどたどしくだが説明しようとする水元を慌てて止める。

流石にいきなりわけのわからないところに来て言われたことを全て理解できるわけではない。

容量オーバーというやつだ。

「いきなり言われてもわからないよ。」

「あ、ああそっか。それじゃぁあっちにお茶を用意してるから、取り敢えずそれを飲もう。」

そういうと水元は自分の返事も聞かずに腕をつかんで洋館の奥へ進んでいく。

「ちょ、うわっ！」

いきなりではあったが歩くスピードは遅い、おかげで運動神経がよくない自分でも転けることはなかった。

これが、自分と水元の出会いだった。