伊原家の１日はミキの元気な一言から始まる。
『おはよッ！！』
ユウキもアヤミもミキの両親も、どれだけこの一言に励まされたか分からない。
しかし、今回ばかりは違った。
ミキにはいつもの元気がなかった。
父親の方針で、朝食と夕食は家族揃って食べる事になっていた。
しかし、今日ばかりはミキがいらないと言い出した為ミキがいない朝食になった。
『行ってきます。』
アヤミも辛かった。こんな元気のないミキを見るのは初めてだったからだ。
ミキの学校は公立高校でも、勉学やスポーツ共に有名な高校。
ミキが教室に入ると、ミキの親友ナナコが来た。
『ミ～キ！おはよッ！！』
ミキはまた仮面を被る。
しかし、ナナコは見抜いていた。
最近一人になる時間が多くなってきたミキを見て、ずっと不思議に思っていた。
しかし、ナナコとミキは小学校時代からの付き合いなので、ミキの性格を良く知っている。
今ここで悩みがあるなら言ってよ！と言いたいところだが、ミキの事だから何にもないと言うに決まっていると推理した。
(私に出来る事を優しく見守りつつ 、ミキからくるまでは触れないでおこう。)
と思った。
ミキもナナコだけはきずいているのではと思っていた。
そんなこんなで、一限目が始まる。
続いて二限目、三限目、四限目と午前中の授業が終わり、お昼休みに入りかかろうとしたとき、ミキの担任の高菜先生から呼び出しを受けた。
『伊原ーッ！！』
『はーい！！何ですか？』
『今日の私の授業は外でやるから、クラスに伝えておいてくれないか？私は授業の準備をするから呼びに行けないから。始まる3分前には国旗付近にいてほしいのだが大丈夫か？』
『分かりました。』
ミキは普段通りに先生と会話をしている。
ナナコはそんなミキを見て、親友として何かしてあげられないかと考えていた。