「繭、今日一緒に帰らない?」
「いいよ」

今日金曜日かあ、

卓球部活か。

「繭?どうかした?」
「なんでもないよ!…」


せっかく由真と一緒に下校言うのに、
なんで榊涼太のことばっか頭に浮かんでくるんだろ。

「繭、なんかあの人、繭みてるよ?」
「え?」

「東雲?」

この声って、

「涼太…?」

「繭、涼太って?」
「優樹の双子の弟。」
「えっ、でも優樹くんに兄弟無しって?」

「涼太と優樹の親、離婚したんだ。それで優樹は父親に、涼太は母親に引き取られて苗字が違うんだよ。」
「そうだったんだ」

でもなんで涼太がここに?

「由真?東雲?」
「優樹くん?…」
「涼太…なんで」


優樹…?

涼太…?

「優樹、お袋死んだ。だから俺は今ここにいる。」
「…嘘だろ。」
「嘘じゃない。」


嘘…

涼太たちのお母さん、亡くなったの…?

なにそれ