「読んでないよ! ほらっ! 袋に雑誌はまだ入っている状態だし!」
雑誌を持ち上げて、俺の前にかざしながら必死に弁解する茅乃。
恐らく、茅乃なりに必死に考えて買った雑誌を俺が帰ってくる前に袋の中に戻しておけば大丈夫だとでも思ってたんだろう。
だけど、明らかにこの慌てようといい焦りっぷりといい、『見てない』と信じる方が難しい。
「別に、読んじゃいけないなんて俺、言ってないだろ? 元々は、お前のために買ってやったものだし」
「だから、読んでないんだってば!!」
顔を真っ赤にして否定する茅乃。
そこまでムキになるようなことか?
「ま、どっちでもいいや。読んでないなら、今から二人で読むか。『初体験』についての記事を―――…」
意味ありげに『初体験』という言葉だけ強調してやると、途端に茅乃は顔を固まらせたかと思うと、俺から素早く離れた。
「―――なんだ? その態度は…」
「け、結構です! 自分で何とかできるもん!」
「何言ってんだよ。自分でどうするかわからないから、その本で勉強しようとしてたんだろ?」
俺はゆっくりと歩き、茅乃との間にできた距離を埋めていく。
すでに、壁際に居た茅乃はこれ以上逃げる場所がなく、ただ俺が縮める距離になすすべもなくアワアワと慌てていた。


