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「あら、圭史くん―――…。
もう、帰ってきたの?」
「はい…。
法事が早く終わったので」
実際は、俺があゆのことを振ったことで雰囲気が悪くなり、お昼を食べると早々に帰宅の途に着いたからだけど―――…
「ところで、茅乃は…?」
にこにこと話す茅乃のおばさんに、俺は二階を窺いながら聞く。
俺の声を聞いたところで、絶対に飛び出してくることなんてないと思うけど―――…。
それどころか―――…
そう思った矢先、茅乃の部屋からドタバタと慌ただしい音が聞こえてきた。
あいつ――…。
「茅乃なら、自分の部屋にいると思うけど―――…」
「すみません…。
上がらせてもらってもいいですか?
昨日、少し喧嘩しちゃって…」
「あら、そうなの?
それなら、早く仲直りしないといけないものね。
どうぞ、上がって」
「おじゃまします」
見知った初瀬家。
俺は迷うこともなく、茅乃の部屋へと一直線に突き進む。
そして―――…


